日曜日に『思い出のマーニー』を観てきました。
例によってネタバレを回避しながら感想を描きます。
この映画を観て感じたのは2つ。
ひとつは、宮崎駿監督がいないジブリ作品もようやく安定してきたな、ということ。
もうひとつは、宮崎駿監督がいなくなったジブリ作品には今まで期待していたものがなくなるだろうな、ということ。
一言で感想を言えば、よくできた映画だと思いました。
原作ファンの観点では、イギリスの作品を乱暴に日本へ舞台転換したことなどに批判もあるようですが、日本での公開を前提としたアレンジによって多くの視聴者に親しみを持たせる効果のほうが大きいと思います。
僕は原作は読んでないけど、このプロットはとても良いです。
結末では意外性に身震いさせられ、妻は泣いてました。
映画作りにあたって、適した原作を選定し、必要な場面で適切かつ効果的にCGを応用し、広い層に楽しめる内容に仕上げた米林監督の実力は、アリエッティから確実に成長していますね。
一方で、宮崎監督の作品にあった、感嘆と驚愕が繰り返され、のびのび個性的に楽しませてくれるようなエンタテインメント性は希薄です。
綺麗にまとまってはいるけど、ワクワクはできないのです。
ところどころ、宮崎監督のコンテの面影を感じさせられるシーンがあり、まだ大先輩の束縛から逃れられていないところはむしろ中途半端に感じるし、作画もおっかなびっくり少しだけ変えているのがよくわかります。もう口出しされないのならば、もっと大胆に変えてもいいと思うのだけど。
また「アナと雪の女王」同様、女性受けがものすごくいい作品だと思いますが、そこもまた、意図的に狙って作られている印象です。
センスではなく理論。
直感ではなく検討。
近年数度、世代交代を思わせる作品が登場しましたが、その結果を真摯に受け止めた上で、次世代のジブリは、一人の天才的なアーティストが生み出すものを模倣しようとするのではなく、技術力とノウハウをフルに活かした緻密でスマートなモノづくりを行って生き残ろうとしているのかもしれません。
これまでの宮崎監督が関わらなかった作品群の中では圧倒的に良い出来なので自信を持ってオススメできますが、ジブリの映画が今後こういう作品ばかりになると思うと、ちょっとさびしい気持ちにもなります。
2014/08/05
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