2011/06/30


※旧ブログからの転載記事です 

6月末、ビブラム社のFiveFingers(ファイブフィンガーズ)に手を出しました。
僕は甲高なので高さを調整しやすい紐つきのSpeedというモデルです。




「手を出した」という表現を使ったのは、これが万人に向けて有効なシューズではないことはもちろん、ランをする人全員に勧められるかといえばこれも決してそうではない特殊なシューズという点にあります。それは、つま先が5本指に分かれており、さらに本来足を守るべきインナー/アウターのクッションがほとんど存在しないため、裸足で歩いているのとほぼ同じだからです。

というより、裸足の感覚で歩き、靴で保護されて弱体化した現代人の足の筋肉機能を取り戻すというのが趣旨で開発されたシューズなのだそう。
そのためいきなりこれを履いて歩いたり走ったりしていると、30分もしないうちに足裏からスネあたりが痛くなります。
足にとっては今まで路面からの衝撃を緩和してくれていたものを廃して歩くことになるのでかなり厳しい環境となり、下手すれば足を痛めることもあるでしょう。
だから普段から少しずつ履いて、徐々に慣れ、徐々に鍛えていく根気を必要とするシューズなのです。

もちろんこれを使うのはランニング目的。周囲だと、主にウルトラマラソン(フルマラソン以上の超長距離マラソン)ランナーが愛用しています。
現在使っている筋肉を鍛えつつ、さらに走ることに使える筋肉を"追加する"ことで、マラソンという足への負荷を強いる競技において効果的なレベルアップを狙えるのです。
ラン仲間の山田洋さんが日本で最初にこのシューズを持ち込んだらしいですが、彼は去年のつくばマラソン42.195kmをこのシューズも脱いだ本当の裸足で完走しています。
そこまでやれるかどうかはともかく、足が飛躍的に強くなるのは事実とのこと。

最初はほんと一歩一歩の衝撃が腿の骨まで届く感じで、かえって故障を起こさないか不安でした。よって1週間目は1日1時間と時間制限を決めて駅までの往復程度に使い、2週目に2時間~3時間、3週目には半日と時間を延ばしてきました。
そして1ヶ月経った頃にはこのシューズ以外使わなくなっていました。
むしろ履き回ししないことでシューズそのものの傷みが早くなるのではないかと気にしているくらい。12000円~15000円くらいするので、じゃあもう一足なんてことはできませんが、ソールがないので洗濯機で洗えたりするため、メンテナンスはしやすいです。

現在では足の裏に路面の感覚を感じない普通の靴ではと物足りないとすら思います。
5kmくらいだったら余裕で走ることもできるし、先日は高尾の登山も往復込みでFiveFingersで通しました。
気づいたのは、足の裏の触覚が敏感になり、姿勢の崩れや路面の変化で足へ起こっている影響がすぐに感知できること。オーバーペースで無理な力がかかったり不自然なフォームになれば即座に足裏に傷みや違和感が発生するのですぐさま対処できます。
これを履いたまま速くは走れませんが、長く安全に走るトレーニングという側面では大いに有効です。
足の裏の触覚ってほとんど使ってなかったんだなーって気づかされました。

ちなみにこのシューズを履いていることで、よく足元に視線を感じたり「面白い靴ですね」と声をかけられることがかなり増えました。
5本指のシューズはまだまだ世の中全体では珍しいアイテムなので、町歩きにも積極的に使ってどんどん目立っていきたいという自己顕示欲たっぷりの僕にはぴったりなモチベーションを提供してくれています。